奇跡のリンゴ

以前テレビの番組で見たことがあって、本屋さんで見つけてからずっと気になっていて、ついに買った本。
『奇跡のリンゴ』(石川拓治 著 幻冬舎 定価1300円)
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読んでみてわかったことだが、私が見た番組は、どうやら「プロフェッショナル仕事の流儀」のようだ。

完全無農薬で、リンゴ栽培を行った、木村さん。
それは、遠い道のりであり、暮らしぶりも大変であった。
しかし、こうと信じたら突き進んでしまう木村さんの意地が、成功へと導いた。
きっかけは、奥さんが農薬に弱かったということだったらしいが、そこから人になんといわれようと、突き進んだ。
もちろん、木村さんに迷いがなかったわけではない。
迷いながらも後には引けないというプライドが、前へ足を進めさせた。
表紙は、木村さんの屈託のない笑顔が飾っている。
その口元には、歯がほとんどない。
これは、ある事件が元で、そうなるのだが、木村さんは人に歯のことを聞かれるとこう答えるという。
「私はリンゴの葉と、自分の歯を引き替えにしたんです。」と。
まさしくそのとおりで、リンゴが弱って、弱って衰弱しきったときに、木村さんは一つの方法を見つけ出した。
事件に巻き込まれたときも、そのおかげで生活のためにと始めたアルバイトから足を洗って、再びリンゴ栽培に戻る。
木村さんには欲がない。
「奇跡のリンゴ」の注文は、ひっきりなしだそうだ。
だから、結構儲かっていそうなものだが、歯も治さないし、リンゴの値段も上げようとはしない。
屈託のない笑顔には、その人の良さも現れている。
「ホンマ、エエ人やなあ。」っていう感じ。

最後に「ひとつだけ不思議なことがある。」と書かれたところは、お楽しみ。
本当に不思議なことだけれども、あり得る話。

『奇跡のリンゴ』の表紙をめくると、すぐ木村さんの言葉の一節を抜き書きしている。
  リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているわけではない。
  周りの自然の中で、生かされている生き物なわけだ。
  人間もそうなんだよ。
  人間はそのことを忘れてしまって、自分一人で生きていると思っている。

まさしくそうだ。
木村さんのリンゴの木が弱り切ってから復活して花をつけたのを最初に見つけたのも、隣の畑の人だった。
その人は、木村さんがリンゴ畑を放っているのに対して、苦情を言いに行った人であった。
しかし、その人の息子さんは、木村さんの畑の境にあるリンゴの木を全部切り倒した。
それは、自分の畑の農薬が、木村さんの畑にかからないようにするためだ。
みんなが木村さんを見守り、見守られてきたからこそ、木村さんは「奇跡のリンゴ」を作ることができた。
周りに支えられている、自分の気づかないところで・・・。
そういうことに気づけば、みんなが気づけば、2008年の中で起こった痛ましい事件も少しは減っていたかもしれない。

すべての人が、木村さんみたいに取り組んだことで花が咲くというわけではない。
が、この本を読んで、木村さんが「奇跡のリンゴ」に出会えて、本当に良かったと思った。

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